Project Story 02

革新と挑戦の結晶
「ステリテナープラス」

ステリテナープラス

Member

プロジェクトメンバー

  • 技術
    営業職

    A.E

    1984年入社

  • 技術
    開発職

    Y.O

    1995年入社

ステリテナープラス

革新と挑戦の結晶
「ステリテナープラス」

積水成型工業株式会社が新たに手掛けた「ステリテナープラス」は、バイオ医薬品や再生医療分野における製薬業界の最前線を目指して開発された革新的な製品です。この液体容器は、当社が誇るブロー成形技術を活かし、無菌環境での保管や輸送を実現。海外製品が主流となっている市場に挑むことで、当社の技術力を証明し、新たな未来を切り開こうとしています。
今回は、長年営業を経験したA.E氏と開発担当のY.O氏にインタビューを行い、ステリテナープラス誕生の背景や開発に込めた思い、そして技術の進化に向けた取り組みについて詳しくお話を伺いました。

Episode 01

バイオ分野に特化したステリテナープラス開発への決意

  • A.E

    2012年、当社で販売していた滅菌容器「ステリテナー」をブラッシュアップし、新たな分野への販売を目指し、長年温めていたアイデアを形にすることを決意しました。それが「ステリテナープラス」という新製品でした。

    ステリテナープラスは、バイオ医薬品や再生医療といった製薬分野での使用に特化して開発された液体容器です。滅菌処理が施されており、無菌環境での液体の保管や輸送が可能です。海外製品が独占しているわが国の製薬業界において、ブロー成形という当社の強みとする独自技術で新たな市場を切り開くことを目指して開発されました。

    開発を始めたきっかけは、製薬分野や医薬品の市場において、当社が提供できる製品がほとんど存在しなかったことにあります。中でも細胞という生物を扱うバイオの分野はとりわけ難易度が高く、経験値の高い海外メーカーで既に独占されており、実績のない企業の参入は難しいとされていました。しかし、未知の分野に挑戦することに興味があった我々は、当社が長年得意としてきたブロー成形という技術の強みを活かすことで、まだどこにもない特長を持った製品を提供できれば参入が可能という確信を持っていました。

  • Y.O

    一方でバイオ医薬という新しい分野への参入は、当社の実績がない中で、品質保証の面でリスクの高い挑戦と言えました。我々の技術・品質レベルを底上げが必要であり、この技術導入が当社にとって転換点の一つとなりました。

Episode 02

開発初期の試行錯誤

  • A.E

    ステリテナープラスの開発初期は、全くの未知の領域への挑戦でした。製薬分野の知識が乏しいなか、まずはバイオ関連の学会を片端から訪ねました。著名大学の先生や大手製薬企業の方々などの専門家からの率直なアドバイスを受けようと思ったのです。ところが、最初は専門用語が全く分からないため、会話の内容を理解することすらままならず、その都度メモを取り、調べる、の繰り返しで、毎日難解なパズルを解いているような感覚でした。また、製品を企業に持ち込んでも、ダメ出しを受けることも多く、何度も心が折れそうになりましたが、お客様の現場から様々な要求事項や使用環境など詳細な情報を開発へフィードバックして行きました。

  • Y.O

    開発面では、製品の安全性を守るため、容器や部品の素材選定から見直す作業に多くの時間を費やしました。特に、γ線滅菌は素材を劣化させる特性があるため、容器や部品のみならず包装資材に至るまで、適合性の評価に何度も試行錯誤しました。また、製品の製造・検査部門においても、これまでと異なる品質管理や作業管理となるため、専任のチームにより基礎的なノウハウを蓄積していきました。お客様の現場に足を運び、実際の使用環境を確認しながら、改良を進めました。

Episode 03

展示会での発表

  • A.E

    ステリテナープラスを初めて大々的にお披露目したのは、2013年に開催されたインターフェックスという製薬業界最大の展示会でした。私たちはここで初めて製品を発表し、多くの反響を得ることができました。しかしながら、展示会の後、ご来場して頂いた企業に訪問しましたが、実績がないために採用を決断する企業は少なく、その都度根気強く訪問し、繰り返しその良さを説明しました。そんな中、最初に採用していただいたのは、大手製薬メーカーA社でした。それまでは実績がなく、ただの空想の産物でしかなかったステリテナープラスが初めて認められたという喜びは今でも鮮明に覚えています。

Episode 04

お客様の声からの改良の連続

  • A.E

    ステリテナープラスのお客様が増えるに伴い、多くのフィードバックを受けました。その中でも印象に残っているのは、「ここが使いにくい」「ここはなんとかならないのか」といった実際に使って頂いたお客様から聞くマイナスの意見です。特に、使った人にしかわからない細かい内容は貴重な情報源となりました。技術陣はこれらの意見に耳を傾け、改良を重ねていきました。お客様からのご要望は非常に厳しいものでしたが、我々の製品が持つ耐久性や機能性が評価されて、徐々に信頼を得ていきました。特に、容器に付属するチュービングユニットにおいては、お客様との対話を重視し、そのニーズに応じた最適なカスタマイズで製品開発ができたと感じています。

  • Y.O

    最終的に完成に至ったとき、私は強い達成感を感じました。しかしそれ以上に、この製品が実際の製薬現場で活用され、多くの研究者や医療従事者に役立っているという事実が、最大の誇りです。ステリテナープラスは、お客様との密な協力関係がなければ成し遂げられなかった製品です。これからも、世界の市場に参入できるように、さらなる進化を続けたいと思います。

Episode 05

未来の仲間へ

  • A.E

    ステリテナープラスの開発は、私たちにとって大きな挑戦であるとともに、私たち自身の成長の機会でもありました。そして、試行錯誤の中での開発を通じて、0から1を作り出す喜びを感じられました。メーカーでの仕事は、ものづくりの醍醐味を感じることができる場です。私たちの会社では、営業が企画から製品化まで関わることができるため、自分のアイデアを実現することができます。自分たちの作り出した商品が、どこかで、誰かに役立っているということは、何にも代えがたいやりがいにつながっていくのではと思っています。

  • Y.O

    ステリテナープラスも再生医療の分野で多くの難治療患者さんのための役立っていることは誇らしいと思うとともにとてもやりがいを感じています。メーカーならではの、ものづくりの喜びをぜひ一緒に感じてほしいと思います。